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概要
オライリーの「インタフェースデザインの心理学 第2版 ――ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」を読んだので感想を書こうと思います。
技術書のセールとおすすめ書籍を紹介しています。合わせてご覧ください。
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書籍概要
どんな本?
人間の行動原理を意識したデザインの提唱で多くのデザイナー、エンジニアに支持され続けるロングベストセラー書の改訂版。
わかりやすさはそのままに、ヤル気から感情まで各分野の新しい研究結果を反映して待望のアップデート。デザインは相手から無意識の反応を誘い出すための大事な要素です。
人間の行動原理を理解していないデザインは相手を混乱させ目的の結果につながりません。
本書では科学的な研究から導き出された、100の指針を例とともにわかりやすく紹介します。
人間の思考や行動、遊び方にマッチした直観的で人を引きつけるプロダクトをデザインするための必読書です。
- Susan Weinschenk 著、武舎 広幸、武舎 るみ、阿部 和也 訳
- 2021年04月 発行
- 296ページ
- 定価3,190円(税込)
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内容のまとめと感想
ウェブサイトやアプリケーションを利用するユーザーの心理学に関して、100のTIPSとしてまとめた書籍です。
具体的なユーザーインタフェースに関してのアイディアやノウハウではなく、「人間は心理学的にXXだから、YYはやめた方が良い。/ZZは良い。」といった考え方を示しているのが特徴になっています。
専門的な技術書というよりは、「へぇ」といったコラムを読む感覚で気軽に読む事ができるのがウリの1つです。
特徴
コンパクトにまとまっていて読みやすい
1つの項目につきおおよそ2ページ程度でまとまっていて、スキマ時間等でも気軽に読めます。
構成も、具体例を使った説明〜ポイント(まとめ)といった形になっていて、理解しやすいです。
ボリュームもあまり無く、サクッと読めるので重たい技術書の箸休めに読むのにもあっていますね。
事例(実験)ベースで面白い
多くのトピックスでは、実際に行われた実験や経験などをベースに話が展開されていて、読んでいて引き込まれますし、理解と納得が進みます。
実はこの手法自体も、本書では書かれているので、その手法にまんまと乗ってしまいっているわけですね!
適応するにはもうひとステップ必要
前述の通り、具体的なユーザーインタフェースに関するノウハウではなく、考え方や指針を示すものなので、これを具体的にUIに落とし込むには、各自で個別に考えて適応する必要があります。
そういう意味では内容は読みやすいですが、エンジニアなどのデザインに関して慣れていない人間は、実例ベースのデザイン本で勉強してから読んだ方がより効果的なのかも。
面白かった内容のピックアップ
人は過去の経験と予測に基づいて画面を見る
- 人は左から右に画面を読む(言語による)
- 端から、上から30%離れた点を中心視野にしようとする(端:余白、上:ロゴなど意味のない情報なので)
- 一番重要な情報はここに配置すると良い
- 人はメンタルモデルを持っている
- 特定の情報がどこにあるかを期待して見ている(通販サイト:検索フィールドが一番最初に来るとか)
表題と見出しは決定的に重要
- 意味のある表題や見出しがあるだけで、理解に大きい違いが出る
人は物語を使って情報をうまく処理する
- 事例:アウェーで多くの人が聞いていない講演会において、興味を引くような物語を話し出したらみんな顔をあげて注目した。
- 物語の形式
- 場面設定、登場人粒、状況、障害を聞き手に説明する
- 物語は因果関係を伝える
- 直接的な繋がりを説明しなくても聞いた人は勝手に関係性を思い込んでくれる
- 例:母親がジョーイに激しい借りを爆発させた。翌日ジョーイの体はあざだらけになった。(=>母親が殴った?)
目標に近づくほど「ヤル気」が出る
- コーヒショップの事例
- カードA:欄が10個でスタンプが何も押されていない
- カードB:欄が12個で最初からスタンプが2個押されている
- カードBの方が多くの人がスタンプ集める傾向を示す
- 音楽サイトの事例(楽曲評価の付与)
- 報酬の獲得が近づくほど、閲覧が頻繁になり、評価を行う回数が増加
- 目標が達成されるとやる気が落ち込む
- 報酬を与えた後に追加の働きかけなどが効果的(感謝のメールなど)
内的報酬よりも外的報酬の方がヤル気が出る
- 事例(実験):子供を3グループに分けて実施
- グループ1:賞を見せて、貰うために絵を描くように依頼
- グループ2:賞に関して知らせず、絵を描くように依頼。描いてから賞を付与
- グループ3:絵を描くように依頼。賞に関しては事前も事後も何もやらない
- ↑の2週間後に教室に絵の道具を置いたところ、グループ2の子供が自発的に絵を描き続けた。グループ1が最も時間が短かった。
- 大人でも同様の傾向が見られた。
- 外的報酬(前もって説明された特定の行動に対する報酬)では与えられなくなると、行動が減少する
- 与えるならば予期しないものの方がヤル気を生み出す
人は社会的な規範に影響される
- 事例:
- 電気の使用量に関する5つのメッセージを用意して、どれが効果が高いかを調査
- 環境保護につながります
- 社会的責任を果たします
- お金を節約できます
- 近所の人たちはみな電子の使用料を減らしています
- あなたの電気の使用量はXXです
- 4番目のメッセージが一番効果が高い結果となった
- 電気の使用量に関する5つのメッセージを用意して、どれが効果が高いかを調査
- 人は他人の行動に強く影響を受ける
- 規範的な行動に対する情報を与えられるとそれに近くづくようになる
- 他人がどうしているか情報を示し、ユーザの情報を示すと効果的(他人に近いのか、違っているのかを示す)
人は自分の処理能力を超えた数の選択肢や情報を欲しがる
- 事例:食料品店でフルーツジャムの試食販売
- 対比パターン:6種類、24種類の2パターンの試食販売を実施
- 来客率:6種類は40%、24種類は60%
- 24種類が効果的? =>実は違う
- 購入率:6種類は31%(子運輸者は 12/100 人)、24種類は3%(購入者は 2/100 人 )
- 最終的な購入数は圧倒的に6種類
- 種類が多い方が来客率が高いのはなぜ?
- ドーパミンが放出される(情報を求め続けることに中毒性がある)
- ポイント
- 希望する選択肢を尋ねると、「たくさん」とか「全部」と回答が来るがその要求に従ってはいけない
- できれば選択肢は3~4つに抑える。難しい場合には斬新的な方法を持ちいる(最初に3~4個を提示、選択したら次の選択肢を示す)